研究レポート

其根在脚、主宰于腰、形于手指
武禹襄  「太極拳論」より

海老原世津子

海老原世津子さん;

私の今現在の課題は、まだ正しい形ができていないことで、特に足から腰にかけての基礎の部分に問題があるのではないかと思われる。そのため、上虚下実にならず、肩などに力が入ってしまうことになる。推手をするようになってからは、肩が痛くなるなどして、力が抜けていないこと、腰とつながっていないことなどがよくわかった。十二法や、二十四式の中でも、更に日常生活においても肩など上半身に力が入っていることがよくある。縁あって坐禅を組む機会があるが、そこでも上半身の力が抜けていないことが自覚される。ここでもう一度大きな穴を掘ってしっかりとした基礎を作りたく、武禹襄の「太極拳論」の「其根在脚、主宰于腰、形于手指」という言葉に学びたいと思う。

上虚下実が実現されないのは、足から腰の下盤安定がないということだけではなく、上半身の問題もあると思う。肩が上がるのは、元々肩関節(特に右)が固いこともあるだろう。上下のつながり、外三合の関係からか、同側の胯も固く内に入りにくい。上腹部も固く腹がリラックスしづらく内気が丹田に落ちにくい。又、肩が上がることによって、呼吸が浅くなり、自然な腹式呼吸の妨げともなる。

三円式をする海老原さんさて、それでも、足から腰の下盤がしっかり安定していればうまくいくこともある。三円式でバランスがとれ、余裕があって気持ちよく立っているときなどはそう思う。まず足の裏を平らに偏りなく、腰を落として胯を収め股弓を作り下盤を充実させる。重心を安定させてその上に背骨を立て伸ばす。まずはそれだけ、あとは腰に任せて肩や手などに力を入れない。腰に任せきって左右の手を向かい合わせた時、肱弓を作っているのは私ではないような感じとなり、いつも意識してしまう肩などない如く、指先まで力が抜けていながら自然な感じでつながる。腰ができていないで、肩や手や指などの細かい調整をしようと思うと逆にかえって緊張してしまうこともある。これが、「其根在脚、主宰于腰、形于手指」ではないか。足は木の根のようで、腰は動作の一番目の主宰で、手の指の形にまで現れる。下盤だけ安定させて、あとは腰に任せっきりというやり方は不完全かもしれないが、上半身の緊張が抜けきらない私の工夫なのである。足から腰の調整ができたら上半身、手、細かい部分の調整に入るのである。

三円式は、ゆっくりと自分のペースで調整できるが、二十四式や推手となるとなかなかそうはいかない。推手のときなど足から、腰からつながるようにと思ってはいるが、つい力が入って余裕のある上虚下実とはほど遠い。まず十二法の中できちんと確認しながら進んでいきたいと思う。

十二法をする海老原さん日常の中に気功を取り入れて生活していきたいと思っている。まだ、気付いた時、ほんの瞬間しかできないけれど。気功を始めて自分の身体の歪みや姿勢の癖などに気付くことができた。緊張しやすい私は、もっともっとゆったりどっしりする為に練功中だけでなく日々の中で上虚下実を心掛け、そして「其根在脚、主宰于腰、形于手指」の実現を目標としたいと思う。


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