研究レポート

三円式

川上 正敬

川上正敬さん

教室では套路や推手などの練習の楽しさもさることながら、先生の様々なお話がとても興味深くいつも楽しく拝聴しています。早いものでそろそろ5年になろうとしています。その間に貯まった私のノートの記録から、三円式についての記事をまとめてみました。まだまだ足りない事ばかりですが、ここに述べさせていただこうと思います。

三円式のポイント

功には様々な功法がありますが、三円式はその代表的な功法であり、他の流派、武術にもよく取り入れられています。
功は一定の姿勢を続けることで身体の調整を行います。

功の目的は...
1.基本的な身体の形に対する感覚を養う。
2.身体の内面的な感覚を養う。

そのポイントは...
1.正しい姿勢であること。(頭正、身直、足平、両肱円、五対、三弓を満たす。)
2.楽な姿勢であること。 身体の軸が形成され、外見的にもきれいに、やわらかく、余裕をもった姿勢です。

そして三円式は、その名前の示す三つの円、すなわち足の円、手の円、小周天の円を形成し、更にこれらを協調させ全体を一つの円とする考え方が重要です。以下に三円式の特に重要なポイントを述べます。

1.足の円

(1)足は肩幅に置く。
肩から下ろした垂線は、それぞれ同側の足の親指に合わせます。これより狭いと身体は不安定になります。また、これより広いと安定感は増しますが調整(変化)しにくくなります。

(2)足は平行に置く。
両足の外側のラインが平行になるように置き、膝を少し曲げて脚に円の感覚を導きます。両足先を開いた形に置くと気が外部へ散乱してしまいます。

(3)尾閭対足跟
骨から下ろした垂線は両足のかかとを結んだ線の真中に合わせ、腹を出さず、尻も出さないようにします。尾骨から下ろした垂線が、かかとより後ろにあると尻が出てしまい、逆に前にあると腹が出てしまいます。

(4)重心は真中
体の重心は前後左右どこにも偏らず、両足の真中にあるようにします。

2.手の円

(1)中指意対
両手の中衝(中指先)を合わせ、肘を緩めて両腕に円を形成します。

(2)手の高さ
両手の中指の高さは中に合わせます。

(3)手の間隔
両手の中指の間は拳一つ入るようにします。但し、肩幅が広く手の短い人は少し広く、肩幅が狭く手の長い人は少し狭くなります。

3.小周天

手の円と足の円をつなぐ上下、縦の円です。イメージは正円ですが、生体エネルギーの分布から楕円になります。
(1)鼻准対臍
鼻先と臍を合わせることで、百会を上方に伸ばし、肩の力を抜き、背(陽)部を開き、胸(陰)部を緩めます。督、任両脈の流れがよくなり小周天がよく巡るようになります。

4.姿勢の高さ

三円式の姿勢の高さは、主に下半身で決まります。その感覚は、立っているよりは座っているような、座っているよりは立っているような感じで、上半身と下半身のバランスをとるようにします。 姿勢が低すぎると(下半身が沈みすぎると)、足腰は鍛えられますが調整(変化)しにくくなります。逆に高すぎると(下半身を伸ばしすぎると)、調整(変化)しやすくなりますが足の円が弱くなり身体全体が浮いてしまいます。

5.丹田を意識する

丹田を意識しますが、集中しすぎないようにします。集中しすぎると姿勢が崩れてしまいます。丹田を意識すると同時に、身体全体(三つの円)を意識するようにします。そうすることで三つの円はまとまり一つの円になります。

数年前に、大きく健康を損なってしまいました。病院での検査はこれといった所見もなく、「ストレスでしょう。」ということでした。精神的にバランスを崩せば身体も崩れてしまう。この体験は私に意識と身体が不可分である事を強く感じさせてくれました。以来、体調不良の改善を願い、特に十二法を熱心にやるようになりました。そのせいでしょうか、この1年ほどは身体の内的感覚を以前に比べてよく感じるようになりました。
特に三円式は時間に余裕をもって、じっくり行うことが楽しみです。意識と身体感覚の動きを感じやすいからです。姿勢によって、身体の内的感覚が変化することを感じ、身体の内的感覚に意識をあてることで姿勢が導かれていくように感じます。気持ちの良い方向へ、良い方向へと。
現在、推手を練習するクラスに通っていますが以前に比べると相手の中心軸を感じているように思います。自分の内部に感じることが出来る分だけ、相手のことも分るのだろうと思います。逆に言えば、相手を把握できた分だけ、それは自分の中に育っているということでしょうか。 「気功の成果は気功の練習の中だけでは分りにくい。推手(武術)はそのためにとても良いツールになる。」という先生の言葉の意味を少し身近に感じるようになりました。
そして、「気功の上達の成果は、気功以外の分野でも花開く。」という先生の言葉にとても魅力を感じています。

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